いろは
今回は紀元前に活躍したギリシア哲学者のソクラテスについて解説をしていきます
この記事の目次
ソクラテスの生涯
ソクラテスは倫理学の創設者と言われており、アテネの哲学者です。アテネとは何か、哲学とは何かを復習するには以下の記事がおすすめです!
ソクラテスは瞑想することが多く、その瞑想の中で運命を支配している守護神・ダイモンの声を聞いたと言われています。ソクラテスはポリスであるアテネの市民として、どのように生きていけばいいか?ということを説いていました。
ソクラテスの重要語
まずはテストに出る重要語について1つずつ説明していきます。
汝自身を知れ
ソクラテスが哲学を始めた理由となったと言われているのが言葉が「汝自身を知れ」というものです。
汝=あなた という意味なので、「汝自身を知れ」=「自分自身のことをよく理解しなさい」ということです。
この言葉はデルフォイのアポロンの神殿と言われる場所の柱に刻まれています。この言葉を見たソクラテスは衝撃を受けて「自分をもう一度見直そう」と考えたと言われています。
エリカ
デルフォイの神託
先ほどの説明にあったデルフォイについて、まず説明します。
エリカ
いろは
デルフォイとは、古代ギリシアの聖地です。
デルフォイはアポロンという神を祀っており、ここでは神のお告げがもらえることが有名でした。あるとき、ソクラテスの友達がデルフォイでアポロン神に尋ねました。「ソクラテスよりも頭が良い人はいるのでしょうか?」アポロンの神からのお告げはこのようなものでした。
「ソクラテスよりも知恵のあるものは存在しない。」
そのお告げを聞いたソクラテスの友達は、すぐにソクラテス本人に伝えました。ソクラテスは驚き、それはどういう意味であるのかということを考えました。それが次の重要語の無知の知に話が繋がります。
無知の知
まず、無知=知らないという意味ですね。
ソクラテスは、神託を受けた後に国の賢者の元を訪れて様々な質問をしました。ですが、その返答を聞いて「賢者と言われる人ですら、世界の物事をよく分かってないじゃないか。彼らは分かってないことをあたかも分かったかのように話している!」と感じたそうです。
そこで、ソクラテスは「無知であることが分かっていない人よりも、自分は無知なことを自覚してる分賢い」と気付きました。
エリカ
いろは
無知の知とは、ソクラテスがアポロンの神託を受けた後に「自分が一番賢いということはどういうことなんだろう」と悩み抜いて出した結論です。
これがかの有名な「無知の知」ということです。
問答法(助産術・産婆術)
問答法とは、無知の知を自覚した後のソクラテスの行動のことです。話し相手に何度も質問をして、相手の答えの矛盾を指摘します。
例えばこのような感じです。
ソクラテスいろは
賢者エリカ
ソクラテスいろは
賢者エリカ
ソクラテスいろは
賢者エリカ
ソクラテスいろは
少し強引な話ですが、ここで色とは何かが答えられなかった賢者は、色を理解していないのだから、結局のところはバナナの本質も知らないんじゃないかということを相手に悟らせます。
そこで、話し相手に「あれ?自分って賢者と言われているけども実は何も分かってないのでは?」と相手に無知を自覚させることができます。これを出産における手伝いをするお婆さん(産婆)になぞらえて助産術・産婆術とも呼ばれています。
ソクラテスの死
ソクラテスはその後、問答法を繰り返して賢者達から反感を買っていました。また、他にもアテネの青少年達に対しソクラテス自身が信じる神の話を説いていました。
このことに対してアテネは「国家の神を認めずに子供達を言葉巧みに惑わし悪影響を与えた」という理由でソクラテスを訴え、死刑になりました。
ここでソクラテスの弟子は「先生が死刑になる必要なんてありません!アテネの法律がおかしいのです!逃亡用のルートを確保したので逃げてください!」と言ったそうです。
ですが、次の重要語の善く生きることを重視したソクラテスは、「アテネで生きる以上、私はアテネの法律に従う」として自ら毒杯を仰ぎ、多くの弟子に囲まれて自殺したと言われています。
ここでのソクラテスの親友が、ソクラテスに国外亡命を勧め、そして自殺までの様子を描いた書物が「クリトン」というものです。この文章はソクラテスの弟子であったプラトンがまとめ、出版したものであるとされています。
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善く生きること
ソクラテスが哲学を行うことのゴールと考えていたものがこの善く生きることでした。ソクラテスが死刑判決を受けた後、ソクラテスは逃亡を図るか、不当な裁判結果を受け入れて死刑になるかを悩みました。ソクラテスが出した結論は「ただ生きるのではなく、善く生きることである」というものでした。
ここでの「善」とは、魂全体が調和した美しい理想的な生き方のことを言います。この善く生きることを選んだソクラテスは、前述の通りに、不当な裁判結果だとしてもアテネで暮らしている以上、それを受け入れることが善と考えて自殺しました。
プラトンによる「ソクラテスの弁明」
賢者達よ、貴方方はアテネの知力においても武力においても素晴らしい偉大なポリス市民でありながらも、ただ金銭を自らのものにしようと勤しむことに気を取られて恥ずかしくはないのか。評判や自らの地位を気にしても、思慮や真実は気にせずに、自らの魂をできるだけ優れたものにしようとせず、心配もしないとは。
ソクラテスは哲学の第一人者であり、素晴らしい哲学者ですが、その生涯において本を書かなかったと言われています。その現代に残るソクラテスの記録というのは、弟子のプラトンという人物の書物によって明らかになっているのです。
そのソクラテスに関して記した書物というのが「ソクラテスの弁明」というものでした。
その内容はソクラテスが裁判官に向けてソクラテス本人の信条や考えを説いている場面を記録したものです。上に記している文章はそのソクラテスの弁明からの抜粋です。プラトン自身もソクラテスへの死刑判決が不当なものだと感じており、「ソクラテスの弁明」を書き記すことで世間に対してソクラテスの活動の意義を訴えました。
ここからはそのほかのソクラテスに関しての言葉を解説していきます。
プシュケー
プシュケーとは、人間の魂のことを言います。
アレテー
アレテーとは、日本語で徳という意味です。ソクラテスは知恵、節制、敬虔(けいけん)、そして正義という徳を定め、その徳が何であるのかを知ることで善く生きることができると考えました。
魂の配慮
自分自身の魂に徳が備わるように心がけて世話をしていくことを魂の配慮と言います。先ほどのソクラテスの弁明の中にもあった「アテネの市民は金稼ぎばかりに目がくらみ、自分の心を育てていない」と述べ、魂への配慮の必要性を説きました。
知徳一致
魂の徳が何かを知ることができれば、それは誰でも正しく、善く生きることができるという考えです。知と徳が一致するということですね。
福徳一致
福徳一致とは、魂の備える知識があれば善く生きることができる(知徳一致)ので、その結果として真の幸福を得ることができるという考えのことを言います。
いろは
今日のまとめ
ソクラテスは重要人物なのでぜひ押さえておきたいですね。
エリカ
いろは
お疲れ様でした。それではまた。
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